1972年、ローマ−クラブ(西欧の政・財・学界のリーダーたちによる国際的研究団体。68年に結成)が『成長の限界』という研究報告を発表して、世界に大きな衝撃をあたえました。世界は1975年の生産水準で足踏みしなければ、22世紀に入るまでに破局を迎えると警告したのです。破局の型としてあげられたのは、食糧飢餓型、資源枯渇型、環境汚染型、以上3つの複合型。私はこの3つの他に第4として原発事故と核戦争による死滅もつけ加えたい。ローマ−クラブの報告は、後進国はこれ以上工業化をするなという、南北格差を固定化する先進国エゴイズムではないかと、批判をあびました。先進国エゴはもちろん通りませんが、私たちが無制限の経済成長が可能であるかのように思いこみがちなことについては、深刻な反省が必要だということ、それも明白です。成長率は高いほどよいと考えるなら、自然環境の制約を無視した、むりやりの成長を追求することになりがち。社会環境についても同様です。ゆっくりとした変化には適応できても、あまりに急激な変化にはついていけず振り落とされてしまう人も、少なくありません。成長率が高いと、分け合うことができるパイが速く大きくなる。だから人々は成長の速いことを望みがちです。パイの切り方を公平に近づけることによって解決できる問題があることを忘れがちになります。望ましい形でパイを大きくするためにも、パイの切り方は大切なのです。
日本から海外に出ていくジャパン・マネーと、外国から国内に入ってくる資金の流れは、1990年のバブル経済の崩壊を境に、様変わりになりました。1980年代後半には、長期資本収支の赤字が経常収支の黒字を大幅に上回っていました。モノの貿易でかせいだおカネを、海外投資という形で海外へ資本輸出していたわけで、1989年には1,900億ドルの資金が流出しました。海外へ積極的に投資をしてきたのは、日本の事業会社や金融機関です。メーカーは外国の企業を買収し、海外に工場を建設するために、ドルを持ち出します。生命保険会社、信託銀行、証券会社はアメリカの国債を大量に購入しています。銀行は、海外市場で調達した資金を海外の企業へ融資します。外国から日本へ流入するおカネも急増し、1991年度は、1,400億ドルの流入超過になりました。その資金の大半は、日本の株式への投資でした。ただ、バブルの崩壊で景気も悪くなったため、1992年度には日本から海外への投資も、海外から日本への投資も大幅に減少しました。日本企業の海外投資や企業買収が少なくなり、株価低迷で外国の投資家も日本での資金運用を減らしたためです。このように、国境を越えて動きまわる資金は、景気動向や金利情勢に敏感に反応します。資金の流れが変わると、為替相場や金利にもその影響がハネかえってきて、景気の侵乱要因になることもあります。
日本人は、かつて「水はいくら使ってもタダ」という認識をもっていた。だが、容器に入った有料のミネラルウォーターが大量に流通していることからもわかるように、水はもはや料金を払って買う時代に突入したのだ。そもそも水はひじょうに限られた資源である。地表にある70%の水のうち、淡水が占める割合は2・5%にすぎない。その大部分は極地や地下にあり、人間が使いやすい河川湖沼の淡水はわずかO・3%となっている。このように、水資源はただでさえ少ないのに、地球温暖化による河川の断流や水位低下、異常気象による降水量不足、人口増加や急激な経済発展による農工業用水の消費などが追い打ちをかけ、世界的な水不足を招いている。水不足というと、これまでは雨量が少ない地域だけの問題というイメージが強かったが、いまや地球規模の深刻な問題になっているのである。世界の人口が約80億人に達する2025年には、全人口の3人に2人が水不足の危機に直面するとさえいわれている。現在、欧米諸国ではこの限られた水資源をめぐって官民一体となった水関連ビジネスが巨大市場に成長している。市場規模は1281兆ドル(約90兆円)以上。